#personal memo: Human-Centered Algorithm Designへの興味

UXとAlgorithmという潮流

昨年マンハッタンで多用したUberの体験があまりに良かったので、その裏のメカニズムに興味をもって調べていたところ、human-centered algorithm (以下、HCAと略)というキーワードを見つけた。もしかすると、human-centered data scienceのの方が上位概念かもしれない。ともかく、それ以来何かがピンときてしまい、だいぶ気になっているので、ひとまず気になっていることをメモしておこう。

  • Uberは乗客には優しいが、運転手には厳しいシステムであるというようなことが言われるが、一体どういうバランスを取れば双方にとって公平性の高い”良いシステム”になるのだろうか。「Uberのドライバーの上司はアルゴリズム」とも言われるが、現実的に「アルゴリズムと働く」ということを真剣に考える必要がありそうでもある。
  • 現に同様の課題意識がHCAのアジェンダの一つにもあげられており、Algorithm at Work”と「仕事」文脈にフォーカスしたテーマを扱う活動もある模様。
  • HCAの論点を構成する背景は多岐にわたることが用意に想像される。ビジネスにおいては、(1)ユーザにとっての提供価値・UX、(2)事業システム、(3)従業員のUXを同時に考慮したものになる。手法としては機械学習、理論的背景としてマーケットデザインの知見も使えるのかもしれない。ビジネス視点で包括的にみると、SDL(Service Dominant Logic)がテクノロジーによって強化されたという話かもしれない。
  • ACMのCSCW2016というカンファレンスのタイトルがまさに”Computer-Supported Cooperative Work and Social Computing”であった。なんとついこの2/27に実施されていたよう。サイトにある”Call for Participation in Workshops“を見ると、非常に興味深いワークショップタイトルが並ぶ。
  • githubのような場所に、オープンソースで使えるHCAのアルゴリズムがどんどん公開されて行ったらどうなるだろうか。
  • Roger Martin教授の知識のファネルを思い出す(参考:Wikipedia “The Design of Business”)。知識のファネルは3つのフェーズがあり、mystery → heuristic → algorithmというもの。自分のようなUXに携わる人間は最初のファネルであるmystery→ heuristicをひたすら紡いでいるイメージがある。そして、僕としてはさらにalgorithmまでUXのイシューで貫くことで、デジタル社会の次世代インフラにインパクトのある仕事をできればこれ幸い。

余談ではあるけれども、先日、機械学習の勉強会にお邪魔したところ、データサイエンスの道の超一流の方たちがいらしゃって素晴らしい討議をされていた。熱く語る皆さんを見ていて、正直羨ましくなるぐらいだった。それにも関わらず、世の中へのコネクト先が「CVや回遊が3倍」のような世界であり、それはそれで重要だが、なにか残念すぎる、と感じてしまった(自分が良く見えていない可能性ももちろんある)。テクノロジードリブンを志向するわけではないが、このあふれんばかりの知性のコネクト先を見つけるのは、この場に居合わせた自分の義務ではないかと謎の使命感を感じていたところに、そのブリッジとなるようなコンセプトとしてhuman-centered data scienceが現れた(思い出した)。この試行錯誤の中で切り開いてくべきだろう。

2012年ごろの機械学習の論文で、数式・アルゴリズムなどを一切書かずしてトップカンファレンスに通った”Machine Learning that Matters(ICML 2012)”というものがあるらしい。こちらのブログに日本語の要約されているが、「機械学習のための機械学習(要約: マッシュルームやアヤメの分類器を死ぬほど作って何の役に立ったの?)」というのが印象に残った。しかし、テクノロジーのブレイクスルーもあり、機械学習がこれだけ社会に喧伝される昨今では状況は大きく進展していそうだが。

追記

(2016/04/18) 専門的に研究をしている方: Min Kyung Lee(カーネギーメロン大学)、Minさんの講義動画


第5回WebUX研究会「ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング」にて発表しました。

第5回WebUX研究会(12/3 Sat.)「ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング」にて発表してきました。当日の様子については、uxtokyo.orgや参加者の皆さんのブログでもご覧いただけます。

“Storytelling for User Experience”の翻訳(by UX Tokyo)

このたび、UX専門家で知人である酒井さん・脇阪さんらと、UX Tokyo名義にて”Storytelling for User Experience”を翻訳いたしました。12月下旬に丸善出版より発売予定です。

ストーリーテリングは決して真新しいものではありませんが、UX業界においてはまだ浸透・活用の余地があり、UX専門家は身につけておくべきスキルだと思っています。

UCDにおけるユーザ調査結果(定量も含む)の伝達や、新しいデザインアイディアの伝達において役立つものであり、また、チーム内の様々な職種・立場の方を「説得する」ためのコミュニケーションツールでもあります。もちろん、ストーリーテラーとしての素質のある方で、既に出来ている人も数多くいることでしょう。

個人的にストリーテリングは「聞き手の主観を発動させて導くためのお膳立て」ではないかと思っています。人は、他人のイメージではなく自分のイメージで物事を理解します。やや比喩的ですが、船のこぎ手が聞き手ならば、我々は彼らの想像力を刺激する水路を引いてあげて、あとは自ら目的地にこぎ出してもらうことで、「腹落ち」してもらうことだといえます。

本書はユーザリサーチャーにとっては、非常にしみじみと深〜くうなずいてしまうような詩的な印象をいただくことでしょう。行動観察やインタビューの経験があるかたならば、うなずきポイントが大量にあり、理解は一瞬だと思います。一方、あまりユーザリサーチに馴染みのない方は、具体的なストーリーのサンプルを通じてストーリーテリングはもちろん、ユーザ中心デザインについても学ぶことが出来そうです。

さて、本書の発売にあわせて、第5回WebUX研究会の場をお借りして、UX Tokyoの3名(酒井、脇阪、前田)にて本書の紹介をしてきました。私のパートでは、「ストーリーを作る」と題して、ストーリーの「要素」と「パターン」をいかにコントロールするかに着目したプレゼンテーションと、関連するワークショップを行いました。

第5回WebUX研究会「ストーリーを作る」パートの発表内容抜粋

  • ストーリーテリングは、メッセージの伝え方の一種であるけども、メッセージを明示するビジネスプレゼンテーションと異なり、聞き手の想像力を刺激しながらメッセージを暗示する方法と言える。
  • 目標である「オーディエンス自らがこちらの意図する想像をしている状態」に向けて、コントロールすべき「5つの要素」と、利用できる「6つのパターン」が存在する。
  • 聞き手にメッセージを想像させるとは、以下の同じトピックに関する2つのストーリーの違い。
    (1)「夕方5時。三田さんはレポートに取り組んでいた。」
    (2)「もうどれぐらい時間が経ったのか、三田さんは分からなかった。オフィスはとても静かだった。オフィスの壁は、今朝行ったブレインストーミングのポストイットで覆われていた。机の上にはプリントの山が積み重なっている。半分かじりかけのサンドイッチがデスクの端においてあって、長い間忘れ去られている。オフィス内には、三田さんがキーボードをカチカチと打つ音だけが鳴り響いていた。」
  • 以下の5つの要素をコントロールしながら、聞き手にメッセージを想像してもらう(重要です)。
    1.視点、2.キャラクター、3.コンテクスト(物理的、情緒的、知覚的、記憶的、歴史的)、4.心的イメージ、5.言葉遣い
  • ストーリーテリングには伝統的な6つの構成パターンが存在する(こちらはおまけですね)。
    1.規範的、2.英雄的、3.新しいものに親しむ、4.フレーム化、5.レイヤー、6.文脈的幕間
View more presentations from ux_tokyo

知識移転力を高める「物語の知」

家にたまたまあった本をたぐってみたところ、『知識創造の方法論』(野中郁次郎、紺野登)において、ストーリーテリングは知識創造手法の一部を担うもので「新たな思考形式=コンセプトの実践化における重要な伝達・移転の知である」と紹介されていました。以下にその一節をご紹介します。
「物語」(ストリーテリング)は、自分自身の経験(つまり、暗黙知)をすべて形式知化してしまうことなしに、暗黙知の意味的豊かさを失わないように、すなわち「場」や状況を含めて、伝達する「内面化」の方法です。
「意味的豊かさ」については、上述の5つの要素やまさに「心的イメージ」あたりが関連するものであり、「豊かさ」を生むディテールをオーディエンス視点でいかに組み込むかについては本書でも多くのTipsを紹介しています。
さらに『知識創造の方法論』ではストーリーテリングで著名なS・デニング氏を参照し、「物語」には以下のような特徴があるとも述べています。
  • 結びつき – 聞く人に積極的なかわわりを持つアイデアや彼らが共感できる主人公の設定
  • 奇妙さ – 聞く人の期待や気持ちをゆさぶる
  • 理解しやすさ – 伝えたいアイデアを感情や身体の感覚に訴えるように語ることで、聞く人を新たな理解のレベルに跳躍させる
  • そして何より重要なのは、物語が「ハッピーエンディング」であること
元来ストーリーテリングはオーディエンス(聞き手)中心にデザインされたメッセージです。従って、ストーリーテリングには聞き手の深い理解が重要になります。本書でもストーリー〜ストーリーテラー〜オーディエンスの3つを「ストーリートライアングル」と称して、ストーリーづくりにおけるオーディエンスの重要性を十分すぎるほどお伝えしています。
さて、ちょとずつ発売が後ろ倒しになっていますが、12月の下旬には発売予定です〜!初版では「シェアされるストーリーとは?」的な時流にあわせた帯を書いちゃいましたが、間違いではないですw
ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング -よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方 - ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング -よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方 –
Whitney Quesenbery Kevin Brooks UX TOKYO
丸善出版 2011-12-26
売り上げランキング : 19238Amazonで詳しく見る by G-Tools

「自分」の範囲はどこまでか

「自分の範囲を広げる」という認識を持つことは可能だろうか。
自分は自分を大事にするという前提があれば、「自分の範囲が広がる」ことで、少しは世の中のためになるだろうか。

常日頃からインタフェースだなんだと言っているが、自分と外界のインタフェース(界面)は浮き彫りになりつつも、頭の中のイメージとしては徐々に消失する方向に向かっているのを感じなくはない。
普段からネットばかり使っていることで、モノを物でなく情報として扱う習癖が身に付いてしまったからだろうか、物理的な界面は、情報を扱うかのごとく簡単に越えられる気がしてしまう。

自分はモノとの界面を越えて、「自分の範囲を広げる」ことでテンションがあがるだろうか。

妄想その1)
出勤中に、自分を中心とした半径10mの球を思い描いてみた。外で道を歩いていて、自分の半径10m以内のモノは全て自分だと認識するよう努める。半径10m以内の地面のアスファルトの上にゴミが落ちていたら、それを払いのけたくなるかもしれない、ゴミが減るのかもしれないと超楽観的なことを思った。
しかし、その辺のアスファルトや草木や土も含めて同化感を味わうのは、何か妙な快感を覚える。しっかりした大きな物と同化することは、まさに地に足が付き根っこまで生えたような安心感がなくはない。

妄想その2)
今度は自分の友達は、自分だと認識する。これは意外と簡単かと思いきや、アスファルトと違って同化感は想起できなかった。
自分の子供でもない限り、自分の一部と認識することは難しそうだ。「意識を共有する」ようなことは妄想できるかもしれないが、まだ自分には糸口がない気がする。

さて、自分は何か大きなものの部分であり、全体でもあるという認識を持つこと。自分自身を海原の一つの揺らぎとしてイメージするような。よくSFで、地球上のあらゆるネットワークにコネクトして、自分という個と大きな一体感を同時に認識するような状態。楳図かずおの『わたしは慎吾』の慎吾のように、「わたしは丸になった!」状態。

そういう現象・状態は想像できるが、そこに向かわせるモチベーションが何なのかがちゃんと分からなかった。

マズローの欲求5段階説をご存知だろうが、5段階の上があることはご存知だろうか?
はじめ、「自分の範囲が広がる」「大きなものとつながる」ことは3段階目「所属と愛の欲求」なのかなと思ったが、Wikipediaによると、実は5段階のもう一つ上に「自己超越」という定義があることを知った。彼の考えによると、自己超越の特徴は「統合された意識を持つ」とか「多視点的な思考ができる」とか「「在ること」(Being)のレベルにおいて生きている」などがあるそうで、人口の2%のみが自己超越者(transcenders)の域に達しているそうだ。

最近の日本は、マズローの5段階目「自己実現の欲求」で盛り上がってると感じているが、いつかその欲求がおさまる(満たされる)と、今度は「自己超越の欲求」をテーマにしたような、宗教チックな自己啓発本がちまたにあふれ出すのだろうか(なんかやーね)。

だから個人的には、「自己超越の欲求」を満たす一つのヒントとして、超越のちょっと手前のような「自分の範囲を広げる」ことが何か発想を広げてくれるのではと思って、妄想している。ただ、観念レベルではなく、物理的な行動レベルのインフラをデザインすることに僕自身は関心がある(あくまで心->行動->習癖->品性->運命の枠組みが好きで、「行動」をよくデザインすることをミッションと思い込んでいる)。Brenda LaurelさんのDesigned Animismなんかは、大いにテンションがあがる。

ユビキタス/複合現実感のような現実世界とデジタル・インターネットが融合した世界を描く際、僕らはどんな本質的な要件がありうるのだろうか、自分としてもテンションあがる要件は何なのか(笑)、最近そればかりをよく考えている。その中で、もしかすると「自己超越」的な欲望がドライブするかもしれない、「どこまでが自分か?」と問うことがヒントになるかもしれない、と思った。


#personal memo: Service Design事始め

半ば趣味的だけども、Service Designにキャッチアップして考えを膨らませていくための手がかりメモ。

まず、個人的にService Designに好奇心をくすぐられている点は以下の通り。

  • リアル〜バーチャル関わらず、人々との様々なタッチポイントでのコミュニケーションシナリオを、UCDつまりユーザ中心のアプローチで設計する。
  • 必要に応じて、ソフトウェア/ハードウェアを作る。
  • ユーザの行動ログと紐づけたコミュニケーションの最適化。ウェブ的なアプローチ。ビジネスインテリジェンス。
  • ユビキタス、everywareの要件を定義できる時代へ(向けたパッションを感じる)。
  • 公共交通手段や、公共施設、都市に関われるチャンスかもしれない。
  • 例えば、図書館のService Designに興味がある。
  • 例えば、「ユニクロを着る」とは「ユニクロというサービス・体験を着る」ことに本質的になっていく。

相変わらずの手段が目的化っぷりw。これにより何を達成しなければならないだろうか。こちらがビジョンとなるだろうから、引き続き検討する必要がある。

  • 最近の個人的テーマとなっている「ネットが感動につながる」(感動ばかりもしていられないけど、たまには)。
  • 利用者も、提供者側も楽になること。そう、ITで(ITから)もっと楽になりたい。ネットやコンピュータで、本当にもっと「いちいち」を全部無くしたい。
  • 感動への一つのポイントとして、ネットをもっと生身の身体(からだ)に近づけられるように。flesh-and-blood。
  • 日本人の「おもてなし力」そのまんま活かして、世界に誇るサービスを提供する(※UXの訳とかなんとかは置いといて)。

さて、Service Designに関して強力なソースを一つ発見。こちらのブログ。

Design for Service – Research, patterns and observation

フリーのデザインコンサルタント、Jeff Howard氏による特設ブログ。うなるほどの資料がまとまっている。ちょうど最新の記事が、“Summer Reading for Service Designers”となっていた。Service Designerのための書籍集がまとまっている。。なんて親切な・・。

以下の2冊は、書籍集の中でhigh-ratedの評価を受けており、どちらも部分的にフリーのPDFもあるようだから、通勤時にでもさらりと見てみようか。

The Journey to the Interface: How Public Service Design Can Connect Users to Reform
The Journey to the Interface: How Public Service Design Can Connect Users to Reform Sophia Parker Joe Heapy

Demos 2006-07-26
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る by G-Tools

上記はなんと、CCライセンスのPDFを、丸っとダウンロード可能。

Business Model Generation: A Handbook for Visionaries, Game Changers, and Challengers
Business Model Generation: A Handbook for Visionaries, Game Changers, and Challengers Alexander Osterwalder Yves Pigneur

Wiley 2010-07-06
売り上げランキング : 27520

Amazonで詳しく見る by G-Tools

こちらは、まだ発売前(なぜhigh-ratedなの?)。こちらから前半72ページのPDFはフリーでダウンロード可能。

しかし、Service Designって体当たりでぶつかっても話が壮大過ぎる。
いま実行するとしたら、位置情報絡みとかその辺りから行くのがいいのかしらね。