組織において文化人類学のエキスパートを権威づけることの本質を理解している日本企業はどれぐらいいるのだろうか。

専門職制度がうまく育たないという。
その最も大きい原因は、世間に通用するジョブ・タイトルが社会的に確立していないことだろう。
部長、課長といった管理職だけが世間で評価される。だから、猫も杓子も草木がなびくように管理職をめざす。
これからの企業は、管理職を上回るほどの専門職を求めるようになるだろうと、私は見ている。
世間もたとえ認めなくても、企業の中においては積極的に専門職を要請する必要がある。そしてこれらの専門職に、権威をつけていかざるをえない。
『土光敏夫 信念の言葉』(PHP研究所)より

上へ上へと思っていたら上がつまってしまい、仕方がないので階層を増やして微妙な権限の違いでミルフィーユみたいな組織が出来上がってるのかもしれない。

どの専門職に権威を付けるかは、経営戦略(の一環)だろう。UX関連職種(または顧客中心専門職)を少しずつ耳にし始めたのは嬉しい限りだが。

ところで最近はサービスデザインという言葉も聞かれるが、価値創出を組織内外の機能のネットワークやシステムとして設計するもので(バリューチェーンと何ら変わらない気もするが)、現状は休眠資産をインターネットの力でうまく束ねて、主にコスト優位性とデジタルならではの利便性とあわせて既存市場に参入しにいくケースが多いように見える(Airbnb、Uberなどなど。リクルートのリボン的な感じも?)。

そこでは、ヒエラルキーよりもより専門機能・専門職を横に効率的につなげる必要に頭が巡る。現場に近いところでは、UXプランナー・サービスデザイナーというような職種の人間が活躍し始める。一方、よりトップマネジメントに近いところでは、UXストラテジストとして、マーケティング〜経営視点からシステムの設計を支援する。UXストラテジストは、具体的な経験価値というよりも、それを最大限生み出すような組織のベクトルをデザインするような職種に違いない。