#personal memo: 空海〜身体的・情報論的・量子論的

800年頃、密教を日本に持ってきた空海の思想(密教解釈)が、とても現代な感じがして驚きました。簡単なメモです。
  • 差異を重んじる。梵字は世界の差異を表象的に表すとして存在する。文字というのは、差異の世界。情報の話をしているようだ。
  • 他の仏教や禅と比べて、強く現世を肯定。この世界をよく悟り、よく遊べ。
  • 身体性をかなり重視。「顕形表」といって、「顕色」はいわゆる色(color)、この顕色が集積する「形色」はかたち、さらにそれが消滅したり相続したりすることを「表色」という。表色とは動的、時間的なもの。
  • お釈迦様のさらにその根本に「大日如来」がいて一番偉い。
  • 世の中の因縁(因果関係)をたどると、因縁では説明できない「不生」(因果の原点)にいたる。不生、つまり生じもせず、滅しもしないところからにあらゆるものが由来している。ビッグバン理論、宇宙の始まりを語るようだ。
  • 梵字の最初の一文字目である阿(あ)字が全ての始まり。つまり阿=不生を表す。さらに阿は口を開けばどこにでも出てくる存在であり、あらゆるものが不生である。部分が全体であり、全体が部分であるような。
  • 「自ら楽しんで大笑、他人を救って大笑」
空海の思想について (講談社学術文庫 460) 空海の思想について (講談社学術文庫 460)
梅原 猛
講談社 1980-01-08
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『日本の弓術』(オイゲン・ヘリゲル)

かたち:狩猟・戦闘→かた:弓道・弓術→か:禅的生活・禅の思想

僕は高校3年間は弓道部に所属していました。弓道部というと精神修養にいいですよねなんてよく聞かれますが、当時の先生は、とにかく型を身につけて、左手に握った弓を手首を少し押し込むように捻りながら押せば的に中たる、それだけだという感じでしたw。でもそれで確かに中たるのでとても楽しくやっており、調子がいいときは「自然と中たる」という感じもありました。

本書は大正時代、ドイツの哲学者であるオイゲン・ヘリゲル氏が、弓術を通じて日本の非合理的・直感的な思考や禅の精神に接近した体験を綴った、短くも濃厚な本です。ドキュメンタリーのような本書を通じて、ヘリゲル氏の目を通じて禅への求道を追体験するようでした。

ヘリゲル氏は弓聖と呼ばれる阿波研造氏に弟子入りし、自宅に巻藁を置くほどガチンコで練習に励みます。師匠の到底論理的ではない(がそれ以外に表現しようもないい)アドバイスに戸惑いつつも、遂には自らの身体をもって、日本の精神を体得していきます。阿波師匠の数々の言葉がとても感銘を受けるものであったため、下記にいくつか引用いたしました。阿波師匠の言葉を聞くと、自分も過去の弓道体験からか身体が反応するようでした。

自分をまず外から内へ向け、その内をも次第に視野から失うことをお習いなさい

的が私と一体になるならば、それは私が仏陀と一体になることを意味する。そして私が仏陀と一体になれば、矢は有と非有の不動の中心に、したがってまた的の中心に在ることになる。矢が中心に在る – これをわれわれの目覚めた意識をもって解釈すれば、矢は中心から出て中心に入るのである。それゆえあなたは的を狙わずに自分自身を狙いなさい。するとあなたはあなた自身と仏陀と的を同時に射中てます。

「的を狙わずに中てる」という感覚が全く分からずに苦しむヘリゲル氏に、師匠は直接それを示して見せます。その技が本当に神がかっている。暗闇の的の前に、線香1本だけ差し、それを目印に射ぬきます。

第一の矢はみごと的のまん中に立ち、第二の矢は第一の矢の筈(はず)に中たってそれを二つに割いていた。

筈とは矢の後ろにある溝のことで、弓の弦をかける部分。1本目に射った筈を2本目でさらに射ぬくとはまさに弓聖。後に師匠も「不思議なこともあるもんだ」と話していたそうな。笑

幸運にもYoutubeで阿波研造範士が射る動画を発見。大昔の映像のため、型がきれいだぐらいのことしか見えてきませんでしたが。

射は人格完成の手段であって、正しき射を修行すれば、一射ごとに人格の向上を計りうる、而して一箭ごとに完全な自我が宇宙と合体しうるのである

弓を引いている瞬間の我は、宇宙と一体をなすべきものであること、一射一射が射手の全生命を投げ出したものでなければならないこと、射がすなわち禅的生活であること

そういえば、剣道や柔道なかと比べても、弓道は相当シンプルな競技であったと思い出されます。前に引用したように「自分をまず外から内へ向け、その内をも次第に視野から失うこと」を促すカタになっていると思います。むしろ茶道に近いんじゃないかと思える。

日本人はやはり生活を哲学する存在であると、あらためて実感しました。

さて、次に会う禅の本に向けて問いをメモ。

  • 禅の精神こそ日本人の最も強みとするものではないか?
  • 日本の50年後に禅の精神は残っているか?
  • 日本のデジタルは、インターネットは、禅の精神を残すことができるか?ヒトの問題なので、論理で出来たデジタル上のものだけで何かすることは不可能だが、弓道という仕組みのように、エンゲージすることはできるはず。やはり西垣通さんの思想は何か近いものを感じる。
  • 実は禅の精神(というかもっと深い何か)を求めて既に始まっている行為は見当たらないか?オタ芸だってオタ道になりえるかもしれない。
日本の弓術 (岩波文庫) 日本の弓術 (岩波文庫)
オイゲン ヘリゲル Eugen Herrigel
岩波書店 1982-10-16
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第5回WebUX研究会「ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング」にて発表しました。

第5回WebUX研究会(12/3 Sat.)「ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング」にて発表してきました。当日の様子については、uxtokyo.orgや参加者の皆さんのブログでもご覧いただけます。

“Storytelling for User Experience”の翻訳(by UX Tokyo)

このたび、UX専門家で知人である酒井さん・脇阪さんらと、UX Tokyo名義にて”Storytelling for User Experience”を翻訳いたしました。12月下旬に丸善出版より発売予定です。

ストーリーテリングは決して真新しいものではありませんが、UX業界においてはまだ浸透・活用の余地があり、UX専門家は身につけておくべきスキルだと思っています。

UCDにおけるユーザ調査結果(定量も含む)の伝達や、新しいデザインアイディアの伝達において役立つものであり、また、チーム内の様々な職種・立場の方を「説得する」ためのコミュニケーションツールでもあります。もちろん、ストーリーテラーとしての素質のある方で、既に出来ている人も数多くいることでしょう。

個人的にストリーテリングは「聞き手の主観を発動させて導くためのお膳立て」ではないかと思っています。人は、他人のイメージではなく自分のイメージで物事を理解します。やや比喩的ですが、船のこぎ手が聞き手ならば、我々は彼らの想像力を刺激する水路を引いてあげて、あとは自ら目的地にこぎ出してもらうことで、「腹落ち」してもらうことだといえます。

本書はユーザリサーチャーにとっては、非常にしみじみと深〜くうなずいてしまうような詩的な印象をいただくことでしょう。行動観察やインタビューの経験があるかたならば、うなずきポイントが大量にあり、理解は一瞬だと思います。一方、あまりユーザリサーチに馴染みのない方は、具体的なストーリーのサンプルを通じてストーリーテリングはもちろん、ユーザ中心デザインについても学ぶことが出来そうです。

さて、本書の発売にあわせて、第5回WebUX研究会の場をお借りして、UX Tokyoの3名(酒井、脇阪、前田)にて本書の紹介をしてきました。私のパートでは、「ストーリーを作る」と題して、ストーリーの「要素」と「パターン」をいかにコントロールするかに着目したプレゼンテーションと、関連するワークショップを行いました。

第5回WebUX研究会「ストーリーを作る」パートの発表内容抜粋

  • ストーリーテリングは、メッセージの伝え方の一種であるけども、メッセージを明示するビジネスプレゼンテーションと異なり、聞き手の想像力を刺激しながらメッセージを暗示する方法と言える。
  • 目標である「オーディエンス自らがこちらの意図する想像をしている状態」に向けて、コントロールすべき「5つの要素」と、利用できる「6つのパターン」が存在する。
  • 聞き手にメッセージを想像させるとは、以下の同じトピックに関する2つのストーリーの違い。
    (1)「夕方5時。三田さんはレポートに取り組んでいた。」
    (2)「もうどれぐらい時間が経ったのか、三田さんは分からなかった。オフィスはとても静かだった。オフィスの壁は、今朝行ったブレインストーミングのポストイットで覆われていた。机の上にはプリントの山が積み重なっている。半分かじりかけのサンドイッチがデスクの端においてあって、長い間忘れ去られている。オフィス内には、三田さんがキーボードをカチカチと打つ音だけが鳴り響いていた。」
  • 以下の5つの要素をコントロールしながら、聞き手にメッセージを想像してもらう(重要です)。
    1.視点、2.キャラクター、3.コンテクスト(物理的、情緒的、知覚的、記憶的、歴史的)、4.心的イメージ、5.言葉遣い
  • ストーリーテリングには伝統的な6つの構成パターンが存在する(こちらはおまけですね)。
    1.規範的、2.英雄的、3.新しいものに親しむ、4.フレーム化、5.レイヤー、6.文脈的幕間
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知識移転力を高める「物語の知」

家にたまたまあった本をたぐってみたところ、『知識創造の方法論』(野中郁次郎、紺野登)において、ストーリーテリングは知識創造手法の一部を担うもので「新たな思考形式=コンセプトの実践化における重要な伝達・移転の知である」と紹介されていました。以下にその一節をご紹介します。
「物語」(ストリーテリング)は、自分自身の経験(つまり、暗黙知)をすべて形式知化してしまうことなしに、暗黙知の意味的豊かさを失わないように、すなわち「場」や状況を含めて、伝達する「内面化」の方法です。
「意味的豊かさ」については、上述の5つの要素やまさに「心的イメージ」あたりが関連するものであり、「豊かさ」を生むディテールをオーディエンス視点でいかに組み込むかについては本書でも多くのTipsを紹介しています。
さらに『知識創造の方法論』ではストーリーテリングで著名なS・デニング氏を参照し、「物語」には以下のような特徴があるとも述べています。
  • 結びつき – 聞く人に積極的なかわわりを持つアイデアや彼らが共感できる主人公の設定
  • 奇妙さ – 聞く人の期待や気持ちをゆさぶる
  • 理解しやすさ – 伝えたいアイデアを感情や身体の感覚に訴えるように語ることで、聞く人を新たな理解のレベルに跳躍させる
  • そして何より重要なのは、物語が「ハッピーエンディング」であること
元来ストーリーテリングはオーディエンス(聞き手)中心にデザインされたメッセージです。従って、ストーリーテリングには聞き手の深い理解が重要になります。本書でもストーリー〜ストーリーテラー〜オーディエンスの3つを「ストーリートライアングル」と称して、ストーリーづくりにおけるオーディエンスの重要性を十分すぎるほどお伝えしています。
さて、ちょとずつ発売が後ろ倒しになっていますが、12月の下旬には発売予定です〜!初版では「シェアされるストーリーとは?」的な時流にあわせた帯を書いちゃいましたが、間違いではないですw
ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング -よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方 - ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング -よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方 –
Whitney Quesenbery Kevin Brooks UX TOKYO
丸善出版 2011-12-26
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#personal memo:『「意識の量」を増やせ!』

だいぶ前に読んだ本だけども、リマインドのために一部引用をメモ。

「意識の量を増やす」というコンセプトが非常に気に入っている。確かに職場で優秀だと思う人は、意識の量の違うと分かる。コンサルティングをしていた頃、上司であるマネジャーの意識の高さ(クライアントへの気配り変数の多さ、創造力、そして優先度付けのうまさ、からの具体的なアクション、これから当然一瞬のうちに行われる)には非常に学ばされた。

また、例えば戦国時代の武士と現代人とでは、意識すべき変数や深さが圧倒的に違っただろうと妄想される。

  • 街角でいつ殺されるか分からない→常に周囲に意識を張り巡らす必要がある
  • 周りは自然だらけで、生物だらけ、視界も悪そう→常に周囲に意識を張り巡らす必要がある
  • 怪我しても病院もない、救急車もない→怪我なんか下手にしたら死ぬから、意識が高い

その辺を散歩してても命に関わるということで、実に気が引き締まる思いがする。実際は非常に脳天気だった可能性もあるが。

以下、本より抜粋。

「我見」から離れ、いわゆる俯瞰の目線で場を見る。そうすることで舞台から演者がどう見えているのかという意識をもつことができるようになると言った。・・・いわば、意識を芸術として見せることを発明したのが世阿弥であると言える。

「意識を芸術として」見ることができる目というのも面白い。

人の意識をトレースするというのは、人の意識に入り込む感覚をもつことである。その人の意識になってものを見る。その人が何を意識してやっているのかをたどることで、その人の視点、その人のワールドに沈潜する。

ユーザリサーチの現場もそう。相手の立場にたって考えること。自分の思考の枠を外すことが必要になる。これは訓練する中で気づかされ、培われる部分も多い。

生体全体をコントロールしてい知覚の考える部分が、細胞をコントロールして遺伝子のふるまいを変えるのだという。

このネタ元になっている本『「思考」のすごい力』は、非常に気になっている。

人脈とは「他者の脳内において自分の占める割合」

意識改善課題リストに追加。

「よくしゃべる、よく間違える、よく笑う」というのは、「よくトライし、よく失敗し、どんどんふっきる」と言い換えることができる。そういう精神でぶつかっていく人には、閉塞感の壁はない。

意識改善課題リストに追加2。

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